もっとも、誰もが使いこなせたわけではない。うまく使えた患者は4割ほどだった、というのが與那城氏の体感で、意識がはっきりしない患者や、高齢で操作を覚えきれない患者には難しかった。それでも、導入当初は「こんなのやっても」と拒否していた患者が、試すうちに夢中で操作を続けるようになる例が相次いだ。
ゲーム会社が医療に挑んで15年
ロケットスタジオは家庭用ゲームの開発で知られる会社だ。医療との関わりは15年ほど前、ゲーム機用のセンサーカメラを使い、長崎大学と離島の患者の患部を3D映像で伝送する遠隔医療システムを作ったことに始まる。以来、長崎大学との開発を続け、表示装置には米マイクロソフトのゴーグル型端末「HoloLens」を使ってきた。そのHoloLensの生産が約2年前に終わり、代替を探すなかで出会ったのがMiRZAだった。
嶺井第一病院との接点は2025年11月、沖縄で開かれた展示会にある。MiRZAのデモを見た與那城氏がその日のうちに連絡を取り、年明けの実証につながった。
同社取締役副社長の中嶋知彦氏は、ゲームのノウハウを問うと、独自の技術は使っていないと率直に認めた。AIの部分はマイクロソフトのクラウドサービスをつなぎ合わせたもので、ロケットスタジオが作り込んだのは、患者ごとに50音表の色味や配置を調整し、分厚いマニュアルなしで使えるようにする画面設計の部分だ。中嶋氏は「ゲームもシステムも同じプログラムで作られている。棲み分けを意識したことはない」と話す。


※ログイン後、コメント入力が可能です。