サステナビリティ担当者であれば、おなじみのTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)。こうした国際的なフレームワークは多数存在する。ただ、フレームワークの採用を競う日本企業の取り組みには問題も少なくない。では、こうしたフレームワークにどのように対応すればよいのか。長年サステナビリティ関連の研究を進めてきた武蔵野大学の松山将之教授が日本企業の課題について解説する。
国際フレームワークへの対応に熱心な日本企業
日本企業は、サステナビリティに関する国際的なフレームワークへの対応に極めて熱心である。気候変動に関するTCFDでは、日本は世界的にも突出して多くの企業が賛同した。このため世界でアジアが過半数を占めるという状況になっている(下図参照)。その後に登場したTNFDでも同様だ。
2026年7月時点で、TNFDに取り組む「TNFDアダプター」は日本が世界最多で233社にのぼる。日本企業が国際的な議論に積極的に参加すること自体は評価すべきだ。しかし、筆者は最近、この「世界最多」という言葉に多少の違和感を覚えている。
日本国内では、フレームワークへの参加企業数を増やすことが、いつの間にか目的になってはいないか。本来問うべきなのは、フレームワークを何社が採用したかではない。そこで開示された情報が投資家に利用され、日本企業の価値がより正当に評価され、資本配分や企業行動を変えることにつながったのか、ということである。フレームワークは、あくまでもそのための「道具」にすぎないはずだからだ。
この記事は有料会員限定です
残り 4830文字


