和室の1つにはハンガーラックが連なり、大量の衣服が隙間なく掛かっている。家のあちこちに家族の思い出の品があった。
片付けは、今回片付けのきっかけをつくった娘(50代)も一緒に行った。
「片付けているとなんか懐かしいものが出てきて、手が止まってしまって。私の知らないものがいっぱい出てきて、それで話を聞いていたら全然進まない。『これ何?』って聞いたらそのたびに教えてくれるでしょ。それがもう楽しくてね。『えっ、そんなんあったんや』って。こういうのは、やっぱり生前にやっておくべきやね。母が亡くなってからやったら聞けないでしょ、そんな思い出」(娘)
この家は、娘が育った家でもある。
「私が小学校1〜2年生くらいまでは古い家だったのを、同じ土地に建て直したんです。当時は父、母、姉、私の4人で住んでいて、それでも広いと思ったけど」(娘)
その父が亡くなり、姉も亡くなった。遠方で暮らす娘は、たまに帰るたびにモノが増えているのを感じていた。
「母は買い物が好きだったし、そのうえ『捨てられない』性格だったから溜まっていくばかりで」(娘)
片付けの途中、幼い孫からの手紙が出てきた。「お家に行くのが楽しみです」と書かれていた。
「この家、気に入ってたからね。たまに来たらうれしがって。手紙を読んだら涙が出てきました。一応写真に全部撮って、子どもにも見せてあげようかなと思って。涙が止まらん」(娘)
手放したいのに、手放せない
この家にはもう1つの問題が残っていた。田舎の大きな家は、そもそも処分すること自体が難しいと二見氏は話す。
「田舎の実家の片付けって、捨てるモノにまず困るんですよ。木材があったり、灯油があったり、壺や棚や工具類があったり」(二見氏)


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