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「燃えにくい」を売りにしたモバイルバッテリー」が急増発した理由、発火リスクを抑える「半固体電池」は従来品と何が違うのか

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2026年5月にハックが発表した半固体電池採用モバイルバッテリー
2026年5月にハックが発表した半固体電池採用モバイルバッテリー(画像:PR Timesより)
  • 山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト
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ただし、全固体電池はまだ広範な量産・普及段階にはない。電池内部でイオンを効率よく移動させる固体電解質の材料、電極との接触抵抗、量産時の品質安定、コストなどを克服する必要がある。そのため、モバイルバッテリーで全固体電池が一般化するには時間がかかるだろう。当面は、半固体電池が現実的な安全性の高い製品として普及していく可能性が高い。

性能よりも安全性を選ぶ時代へ

海外では、日本ほど半固体電池を採用したモバイルバッテリーの販売が目立つわけではない。背景には、充電環境や移動習慣など生活インフラの違いもあるだろう。日本では長時間の通勤・通学や外出への備え、地震など災害への防備としてモバイルバッテリーを日常的に携帯する人が多い。

もちろん、国や地域によって事情は異なる。車移動が中心であれば、車内充電によって外付け電源への依存度が下がる場合がある。一方、公共の充電設備が整っている都市もある。こうした環境の違いによって、モバイルバッテリーに求める容量、安全性、価格の優先順位も変わる。半固体電池は現時点ではコストが高く、安価な従来製品をすぐに置き換えられる技術ではない。

海外で販売されているモバイルバッテリーに半固体電池の表記を見ることはほとんどない(写真:筆者撮影)

ただし、海外でもリチウムイオン電池の発火事故は決して無縁ではない。むしろ、猛暑の常態化は世界共通のリスクになりつつある。2026年の西ヨーロッパでは、6月と7月の平均気温が観測史上最高となり、6月の平均気温は平年比で3℃以上高かった。こうした極端な高温は人体だけでなく、自宅やかばんの中に保管されたモバイルバッテリーにも負担をかける。高温環境への長時間の放置は電池の劣化や異常発熱のリスクを高めるため、今年の猛暑が、今後のモバイルバッテリー事故の増加につながる可能性も否定できない。

そうなれば今後、海外でも「安い」「大容量」「薄い」だけではないモバイルバッテリー選びが進む可能性は高い。日本で先行して半固体電池採用の製品を広げてきたメーカーにとって、それは商機になるだろう。しかし、それ以上に重要なのは、モバイルバッテリーに起因する痛ましい事故を減らせる可能性があることだ。

容量や価格だけを比較してきたモバイルバッテリーは、「燃えにくさ」「劣化の見える化」「正しい回収」まで含めて選ばれる道具へ変わろうとしている。これは容量や充電速度だけを競ってきた従来の市場とは異なる動きだ。安全性、寿命、劣化状態の把握まで含めて製品を選べる環境が整い始めた日本は、世界でも特に安心してモバイルバッテリーを選び、使いやすい国になろうとしているのである。

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