2021年に単行本化され、22年からはフジテレビ「めざましテレビ」で短尺アニメが放送されるようになる。最初は金曜日だけ、途中から火曜日にも枠が増え週2枠の放送になった。
今回映画になった物語は「セイレーン編」と呼ばれ、23年の3月から11月までXで長期間連載された。テレビアニメにはなってないが、映画はXに載った物語そのままだ。
ファンの多くは、どんな物語か、驚愕のラストまで知ったうえで見に行ったのだ。漫画では歌詞だけだった歌が聴ける楽しみがあるにせよ、ラストも知っているうえで映画館に押し寄せた。
メディア戦略を駆使してヒットした従来作品
これまでのアニメ映画のヒットは、漫画雑誌などでの連載がテレビアニメ化されて人気を博し、その特別版の物語が映画になり、年に1回上映されるというものだった。テレビ放送で子どもたちの人気を定着させると、映画になる。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」など、ほとんどがそうだった。
宮崎駿監督のスタジオジブリ作品は、テレビアニメ発の映画ではないが、日本テレビが1990年代から過去作品を一定ペースで放送することで、スタジオとしてのブランドが形成された。2010年代にSNSで「バルス祭り」が沸き起こったのも、子どもの頃に『天空の城ラピュタ』を2年に1度見て育った世代が大人になり、SNSを使って自然発生的に始めた“遊び”だった。
細田守監督も、宮崎駿監督の後継者のように日テレが育てた作家だ。つまり、アニメ映画はテレビ局が育てて映画市場に発射するものだった。ジブリ作品のようにメガヒットを生み出せたのも、作家の力をテレビメディアが増幅したからと言っていい。
16年には『君の名は。』が突然のメガヒットを飛ばした。テレビ局の力は頼らず、新海誠監督が作品の小規模な公開とDVD発売でファンを積み重ねた結果だった。
「鬼滅の刃」では、東京はMXテレビ、あとはローカル局での放送をキー局抜きでネットワークし、放送するとすぐにあらゆる配信サービスで視聴できるようにした。
インターネットの時代になり、メディアパワーが減衰したテレビ局がアニメ映画でのイニシアチブを失っていった。代わりに、プロデュース側がテレビ局も含めて主体的にメディアを組み合わせて、作品の人気を高めていった。


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