7月3日に公開された『トイ・ストーリー5』は、ピクサー・アニメーション史上最速となる公開34日での興収100億円突破を達成。文句なしに今夏の大本命だったことを証明してみせた。
対する『映画ちいかわ』は、初日で9.9億円、公開3日間で22.4億円という驚くべきロケットスタートを切った。そこから減速するどころか、8月8日に配布が始まった入場者特典第2弾を機に、週末興収が2週目の約10.7億円から3週目の約17.0億円へ6割近くも跳ね上がる異例の再加速を見せた。
そして8月21日からの週末、特典第3弾の配布が始まると、3日間で12.4億円を稼ぎ出した。同じ週末の『トイ・ストーリー5』は2.4億円だった。累計の差は、8月16日時点の約23億円から、23日には約11億円へと一気に縮まった。この勢いが続けば、逆転も決して非現実的な話ではない。
ドストエフスキー『罪と罰』並みの作品性
私は当初、「ちいかわ」を「すみっコぐらし」のような、子ども向けのかわいいコンテンツだと決めつけていた。フジテレビの朝の情報番組で短い尺のアニメが放送されているので、ある程度のヒットはするだろうが、「すみっコ」同様、10億円台半ばの興収を狙う作品だろうと思っていた。
それが、最初の3日間で興収22億円と知って、混乱した。いったい何が起きたのか。
しかも、映画を見た人々がドストエフスキーの『罪と罰』まで持ち出して、その作品性の深さを語っている。あのかわいい絵柄のどこにそんな深みがあるのか。
だが、実際に映画を見に行って、納得した。最後に頭を金づちでたたかれたような衝撃を受けた。
それに、観客層は幅広い。小さな子どもを連れたファミリー層だけでなく、若者から中高年まで客席を埋め、1人で見る客も多い。
ヒットの理由を解明しようとするのだが、特別なメカニズムは見当たらない。謎多きイラストレーター、ナガノ氏がX上で連載を始めた漫画で、そこでの人気が異常なまでに高まった。


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