また、仙台行きの高速バスの存在も大きい。福島駅から仙台まで1000円台で1時間程度で行けてしまう。新幹線なら30分弱。交通網の発達は、消費者の行動範囲を広げる一因となっている。
④街を守るはずの条例が衰退を加速させることに
福島にはもう一つ、固有の事情がある。
2005年、福島県は店舗面積6000平方メートル以上の大型店に届出と説明会を義務づける「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」を可決し、翌年施行した。都道府県では全国初だ(この基準は2019年の規制緩和で8000平方メートルに引き上げられている)。
これは、大型店の進出を抑え、中心市街地を守る狙いから生まれたものだった。しかし、県内への大型店の出店が難しくなる一方で、仙台や北関東の大型商業施設へ買い物に向かう人が増えたとも指摘されている。中心市街地を守るための規制が、結果として県外への消費流出を後押ししてしまったという見方だ。
ただし、ここには時期のズレがある。条例が施行された2006年の時点で、コルニエ・ツタヤ(旧ツタヤ百貨店)はすでに2002年に破産し、さくら野百貨店福島店(旧山田百貨店)も2005年3月に閉店していた。
一方、同じ条例の下でも、郡山市の「うすい百貨店」は業態を変えながら現在も営業を続けている。
条例だけで福島市の百貨店の盛衰を説明することはできない。ただ、買い物客がすでに市外へ流れ始めていたことを考えると、中心市街地を守るための規制は後手に回ったとも言える。


※ログイン後、コメント入力が可能です。