市の担当者も、ネット通販をはじめ小売の形態そのものが変化した今、目指しているのは昔を取り戻すことではなく、「これからの時代に合った人が集まる拠点」だと話す。
考えてみれば、かつての百貨店も商品を売るだけの場所ではなかった。家族で食事をし、待ち合わせをし、特に買うものがなくても足を運ぶ。だからこそ、食堂がなくなるだけで「マチの中心がなくなる」という言葉が出たのだろう。
百貨店が消えたことで失われたのは、買い物の場所だけではなかった。かつて一つの建物が担っていた役割を、これから街のどこが担っていくのか。福島駅前は今、その答えを探している。
この街に、唯一の正解はない
取材中、筆者は何度も「どんな駅前になってほしいか」「何を満たせば成功と言えるのか」と尋ねた。すると、市の担当者からこんな言葉が返ってきた。
「再開発に正解はない。年齢や性別によって、思いはそれぞれ違いますから」
言われてみれば当然である。一つの街に、一つの「正解」を求めたこと自体が野暮な問いだったのかもしれない。
それぞれの立場によって見えている課題や求めるものは違う。かつて百貨店に集まっていた役割を、これからは街のさまざまな場所や人が、それぞれの方法で担っていくのだ。
帰り際、もう一度中合跡地の前を通った。白い壁の向こうから、重機の音が響いている。次の「マチの中心」はどんな姿をしているのだろうか。
その答えを探す試みは、すでに始まっている。


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