地元に戻った頃には、すでに福島駅東口の再開発が始まっていた。当初は2026年度中の完成が予定されていたが、資材価格の高騰などから計画は見直され、現在も建物の本格的な建設には至っていない。
大関さん自身も、行政が開催するまちづくりのセミナーに参加し、そこで募集された社会実験などを実践する会議に加わるなど、駅前のこれからに関わっている。そんな大関さんが気にかけているのが、再開発後の駅前にどれだけ商業機能が残るかだ。
現在の計画では、公共棟に「みんなが集まれる場所」が設けられる予定で、大関さんもそこには期待している。一方、民間棟はフードコートやクリニック、オフィスなどが中心となる計画で、物販や店舗が少ないことには懸念を抱いているという。
だからといって、かつての中合をそのまま復活させてほしいというわけではない。百貨店のような大型商業施設でなくても、駅前としてのにぎわいを生むためには、一定の商業機能が必要ではないか。大関さんはそう考えている。
市役所が考える「駅前の役割」
市の担当者に話を聞くと、まず返ってきたのは「役割」の話だった。
「福島駅東口の再開発とは、そもそも民間が主体の事業ですが、市の内外から人を呼び込むための空間を作ることが狙いです。民間が担う商業はもちろん大切ですが、それだけを目的にしているわけではありません」
再開発では、市のホールや会議室などを設け、人が集まり、滞在できる空間を整える。かつての百貨店のような巨大商業施設をもう一度作るのではなく、街に人を呼び込むための新しい拠点を目指しているという。
では、市民の声はどこまで反映されているのだろうか。担当者によれば、計画の見直しにあたっては、商店街や地元住民、各地域のまちづくり協議会などから意見を聞いてきた。寄せられたのは商業に関する要望だけではない。施設に必要な機能や設計、事業費、スケジュール、周辺との連携など、その内容は多岐にわたる。
「すべての意見を一つの施設に反映することは現実的ではない。しかし、コストやスケジュールの制約の中で、実現可能なものはできる限り汲んでいくよう努力しています」
実際、新たな計画には、屋根のついた広場や芝生の屋上広場、自由に利用できる「まちなかリビング」など、市民から寄せられた声を踏まえた空間も盛り込まれている。
さらに、中心市街地にも新しい動きがある。市の調べでは、空き店舗は2021年の114店舗から2025年には90店舗まで減少。2020年度から2025年度末までに、市の補助制度を活用して中心市街地へ新規出店した店舗は170にのぼる。
もちろん、そのすべてが現在も営業を続けているわけではない。それでも担当者は「街で店を始めたいという人は確実にいる」と話す。
駅周辺にも新しい動きがある。西口の商業施設「福島駅西口パワーシティPivot」には、2025年に県内初となる食品スーパー「ロピア」が開業した。百貨店や大型店の撤退が続いたからといって、駅周辺から商業そのものが失われたわけではない。


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