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日本の「民主主義」の誕生は戦後からではない―明治の思想的格闘からみる国民主権の源流、日本に根付いた民主制150年

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日本における民主主義は戦後に突然生まれたわけではない。明治から議論されていた(写真:LordHenriVoton/Getty Images)

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戦後81年が過ぎた。主権者は国民であると規定している日本国憲法は、今のところ修正されていない。それは、主権者は国民であるという考えが、しっかりと根付いたからかもしれない。

先日、皇室典範の一部改正案が成立したが、最大の課題である女性天皇を認める改正という点は問題とならなかった。1条の条文、「男系の男子が、これを継承する」という規定への変更は手が付けられなかった。

しかし、女性天皇を望む声は国民の間に広がっている。国民の多くがそれを望んでいることは、主権者である国民の意思かもしれない。だから、男性女性問わず天皇になりえる社会は、いずれ実現することであろう。今の天皇制が、国民あっての天皇制であるかぎり、そうなるはずである。

さまざまな体制の可能性が議論されていた時代

日本という国を考えるとき、明治初年に論議された一連の思想の影響は大である。今の日本社会の基礎は、宇宙が3分間で決定づけられたように、明治の最初の20年の間で決まったともいえる。

その20年間は天皇制すらもまだ明確ではなく、民主制、共和制、君主制など、さまざまな体制の可能性が論議されていたからである。

民主主義という考えは、けっして戦後日本国憲法によって生まれたものではない。明治時代に西欧から日本に輸入されたものである。明治初年には、まだ日本の維新体制の内容は不明確であり、その将来のあり方について侃々諤々の議論が展開されていた。

そうした議論の多くが、西欧の思想の影響を受けていたことは間違いない。この当時の大ベストセラー本は福澤諭吉の『学問のすすめ』であるが、その冒頭の句は、明治がいかに革命的なものであったかを物語っている。

「天は人の上にひとを造らず、人の下に人を造らずと言えり、されば天より人を生ずるには、万人は万人皆同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物をとり、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずして各々安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり」(『学問のすゝめ』岩波文庫、11ページ)

これは明治5年から9年にかけて出版されたものであるが、封建制時代にあった身分制を否定する新しい社会の到来を高らかに謳っているのだ。当然多くの批判もあった。しかし、これまで身分社会の中で暮らしてきた日本人に、人間の解放を高らかに主張する言論の自由があったことは注目してよい。

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