
コンバットシャツが外国で導入され始めたのは21世紀初頭で、その後爆発的に普及した。当時すでに防弾ベストを着用しての戦闘が前提となっており、「ヒートマネジメント」の観点から途上国を含めて世界的に普及した。
だが陸自が導入したのは2023年からだというから、つまりつい最近のことだ。途上国からも遅れて採用したことになる。その間、演習やレンジャー訓練など熱中症で多数の隊員が倒れ、死亡者が出ていたにもかかわらずだ。
自衛隊はよく装備の開発を国産でするための言い訳に「わが国固有の環境と運用」に適したものが必要であり、外国にないから国産しかないというロジックを使う。夏場は35度を超える高温多湿な気候は、「わが国固有の環境」ではないという認識のようだ。
しかも毎年、同盟国のアメリカ軍やイギリス、フランス、ドイツなどの軍隊とも共同演習をしてきたのに、なぜ彼らはコンバットシャツを着用しているのか、なぜ重くて暑い防弾ベストではなく、プレートキャリアを使用しているのか疑問に思わなかったのか。他国との共同演習から学ぶ気がないなら、共同演習はやめたほうがいい。単なる予算のムダ使いだ。
陸自はヒートマネジメントさえ遅れていた

防弾ベストのヒートマネジメントも遅れていた。22年度に予算化され23年度にコンバットシャツと同時期に導入された18式防弾ベストは17キログラムもあり、また胴体を覆う部分も多く、ヒートマネジメントを重視した構造とは言えなかった。
また、値段も1着約360万円と他国のものより1桁高い法外なものだった。そして陸上幕僚本部の担当者は、筆者の取材で「いついつまでに調達を完了するという計画はない」と証言していた。あまりにも無責任だ。
また、より軽量で通気性のいいプレートキャリアが存在しないこと、防弾ベストに付属するチェストリグ(胸かけ式の弾帯)はあくまで被弾時のクイックリリースのためのものであり、単体では着用できない。これを筆者はかつて軍事専門雑誌『月刊軍事研究』やネットニュースサイト『Japan In-Depth』などで批判した。
24年5月9日の参議院外交防衛委員会で高良鉄美議員がこの『月刊軍事研究』の記事を基に質問したこともあり、その後18式は調達が停止され、別の防弾ベストが開発されることとなった。
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