「学習指導要領に定められた外国語の標準的な授業時数を超えるため、教育課程特例校制度による申請を行って実施しています。その際、授業時数を確保するため、総合的な学習の時間の一部を英語教育に充てています」(伊澤氏、以下同じ)
豊富な授業時間を生かしているのが、実際に英語を使って「伝える」活動だ。小学校低学年では生活科の「昔遊び」で体験したことを英語で伝え、中学年では、社会科で調べたさいたま市の名産や観光名所を英語でプレゼンテーションする。
さらに、動画制作などのコミュニケーション活動にも取り組む。こうした活動を通して、「英語を学ぶ」だけでなく、「英語を使って学ぶ」ことを重視している。
この取り組みを支えるのが、小学校1年生から中学校3年生までの9年間を見通したカリキュラムだ。市オリジナルのテキスト「グローバル・スタディ」による授業は2016年度に始まり、現在は第6版。およそ4年に一度、教科書改訂のタイミングに合わせて内容を見直している。
その制作には、教育委員会に加え、小中学校の教員も参加。実際の授業で得た気づきや経験を持ち寄り、内容を改善してきた。これらの積み重ねにより、英語の知識や技能だけでなく、自分が知っていることや考えたことを英語で伝える力を9年間かけて育てていく。
一方で、英語の学習内容は、学年が上がるにつれて大きく変化する。小学校3年生で授業時数が増え、小学校5年生では教科化に伴い語彙や読み書きが増加。さらに中学校1年生では、文法や綴り、文章構造の習得が求められる。
こうした学習内容の変化に戸惑い、特に小学校から中学校への移行期に「英語が苦手」「嫌い」と感じる子どもは、全国的にも少なくない。
「そこで、さいたま市では、小学校と中学校の学習内容が自然につながるように意識しています。例えば、小学校6年生で『SAITAMA Jr.プロモーター』という単元があります。子どもたちが、さいたま市の魅力を英語で紹介する動画を作る活動ですが、この学習は中学校1年生でも、もう一度出てきます。ただ、同じことを繰り返すわけではありません。中学校では、教科書で学んだ文法や語彙を使いながら表現をさらに広げ、さいたま市や日本の魅力を海外の人に伝える活動へと発展させていきます」
英語が苦手な子を置いていかない…教員同士が連携
では、英語につまずいている子どもには、実際にどのような支援をしているのか。さいたま市が重視しているのは、特別な支援を後から加えるのではなく、日々の授業の中で子どもの小さなつまずきを見取り、その場で支えることだ。そのために、小中の教員の連携や、複数の教員による指導、一人ひとりに合った学び方を組み合わせている。


※ログイン後、コメント入力が可能です。