同族企業という形態そのものは、悪ではない。意思決定の速さや、経営理念が代々受け継がれる一体感は、非同族企業にはない強みでもある。「次々に新たなことにチャレンジでき、それがすぐに形になる。そのおもしろさは、大手ではなかなか味わえない」と、Mさんは話す。
とはいえ、社長に振り回され、育てた部下が辞めていくのはつらい。このような環境の中にいる場合、どう立ち回れば生きのびられるのか。
ワンマンの下で自分と部下を守る術
理不尽な指示に振り回されながらも、部下を守ろうと踏ん張るMさんのような管理職は、決して少なくないだろう。大切なのは、我慢を重ねることでも、社長に真正面からぶつかることでもない。「寝かせる技術」と「本音を安全に吐き出せる場所」を確保することだ。
まず指示を受けたら、その目的を確認したい。そのうえで、指示された方法が目的の達成に本当に適切かどうかを検証することも重要だろう。
そして、指示された通りの方法ですぐに動くのではなく、あえて「熟成させる(寝かせる)」というアプローチを取る。寝かせている間に、負担の少ない対処法が見つかる可能性もあるし、社長の考えが変化するかもしれない。
また、指示を部下に伝える際にも工夫したい。
Mさんが部下にしたように、大事な部下を守るためにも社長からの無理な指示をそのまま下ろすのではなく、いったん自分の中で受け止め、実行可能な形に変換してから伝える工夫が必要だ。このワンクッションが、部下の疲弊を防ぐ緩衝材になる。
同時に、すべてを1人で抱え込まないこと。他部署の管理職や社外のメンターやカウンセラーなど、「本音を安全に吐き出せる場所」を持っておいてほしい。それが、長く健康に働き続けるための生命線になる。


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