その後、大動脈弁膜症、脊柱管狭窄症の手術を立て続けに受け、さらに肺がんが発覚。手術後、しばらくは体調が落ち着いていましたが、89歳で肺がんが再発し、ステージ4と診断されました。年齢的に手術は難しく、小山さんは放射線治療を選択。肺がんは小さくなり、現在は経過観察中です。
「病気になっても私は“もうダメだ”とは思わず、“どうすれば乗り越えられるか”を考えます。80代になってたくさん病気をしましたが、私は病気に負けていないんです」
そう朗らかに話す小山さん。
家族に弱さを見せたら、心が軽くなりました
一方でコロナ禍には再びうつになったと打ち明けます。
「予定していた講演が全部中止になり、収入が途絶えたとき、この先、貯金とわずかな年金でやっていけるのか不安に襲われ、食べられない、眠れない状態になりました。幸い息子夫婦が異変に気付き、お嫁さんが『お困りのことがあったらお手伝いします』と言ってくれて。
思い切って不安をすべて話し、カードや保険を整理してもらいました。『お母さん、大丈夫です』と言われて安心しましたね。今はお金の管理を任せて、お小遣い制なんですよ。人に頼ることは恥ずかしいと思っていたけれど、弱さを見せたら、かえって心が軽くなりました」
現在は、仲間との麻雀、プール、コーラスなど充実した毎日を過ごしています。
「大島が倒れた後、私は健康・経済・生きがいを全部なくしたと思いました。でも90歳の今は全部ある。心は満たされています」
そのまなざしには、90年を生き抜いた人の静かな凜々しさが宿っていました。
(取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部)、撮影=中西裕人 ヘアメイク=青木映子)
※この記事は、雑誌『ハルメク』2026年1月号を再編集しています。

