今回、政治神経科学のパイオニアが、「認知的硬直性」が「イデオロギー的硬直性」に結びつくことを明らかにし、ストレスや欠乏、社会的排斥が人々を過激主義へと押しやることを指摘した、分断の時代の必読書『イデオロギーに飲まれる脳:硬直的思考の脳科学』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
ストレスは認知的柔軟性を低下させる
私たちの身体が最も脆弱になるのは、ストレスを背負ったときだ。ストレスを受けた人は自然と硬直的になり、注意がストレス要因に絞り込まれ、不確実な物事が耐えられなくなる。
人間の身体に急性的だが一時的なストレスをかける実験では、被験者の認知的柔軟性が低下するという結果がしばしば得られる。
ストレスをかけた状態でおこなう実験方法の1つが、トリーア社会的ストレステストというものだ。
このテストで被験者は、気難しい面接官たちの前で口頭発表をするが、事前の準備時間は3分間しかない。その後、冷ややかな態度の試験官たちの前で数学の抜き打ちテストを受ける。
この一連の出来事はまさに悪夢だ。予告なしでの人前でのスピーチや、暗算のテスト、見知らぬ人による社会的評価にさらされるのだから。そのため身体のストレス反応の急増が必ず起こる。
トリーア社会的ストレステストを完了した後に、適応力や創意工夫、習慣にとらわれない行動、思考モードの切り替えが必要とされる認知課題をおこなった場合、成績が低下することがわかっている。



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