他の実験では、社会的または心理的な方法ではなく、身体に直接的にストレスを与えている。身体的なストレスを倫理的に与える方法とは? 被験者の腕を氷水が入ったバケツに突っ込むのだ。
被験者は、キンキンに冷えた水に腕を突っ込み、永遠に思えるくらい長時間そのままにしておかなければならない(実際にはわずか3分間だ)。
その後で一連の認知課題をおこなうと、ストレスにさらされなかった被験者(課題の前に心地よいぬるま湯に腕を浸した)と比べて、柔軟性が低いという結果になった。
興味深いのは、急性的なストレスによって認知的柔軟性が損なわれやすいのは、男性であって女性ではないということが、明らかになりつつあることだ。
この原因としては、ストレスメカニズムの機能における性差が考えられるが、まだ結論は出ていない。ストレスが神経認知機能に与える影響を調べる研究はこれまで、ほとんどが男性のみの被験者サンプルでおこなわれてきたため、女性の身体のストレス反応に対する神経科学者の理解には、欠落やバイアスがあるのが現状だ。
小さな子どもを対象にした実験
小さな子どもでもストレスを感じる。ある小規模な研究は、ストレスが15カ月の幼児の認知的柔軟性を低下させることを明らかにした。
実験では幼児の半分を、世話をしている人から引き離したり、見たことのない物体や人と接触させたりといった、ストレスの多い状況にさらした。一方で残り半分は、ストレス要因にさらさず、落ち着ける場所で世話をしている人と一緒に遊べるようにした。
その後、ストレスの多い状況が実際に生理学的なストレスになっていることを確認するため、幼児のコルチゾール値を測定したところ、ストレス操作の後には上昇していた。
その後同じ幼児に、習慣的行動(青いボタンと赤いボタンを続けて押す)をすると、ライトがまばゆく光り、音楽が鳴ることを学習するという、学習課題をおこなわせた。小さい子どもにとって、それはパーティーみたいなものだ。


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