しばらくすると同じ習慣的行動を取っても、ライトは光らず、音も鳴らなくなった。学習したパターンが報酬に結びつかなくなっても、習慣となった順番でボタンを押し続けたのは、ストレスにさらされた幼児とさらされなかった幼児のどちらだろうか?
習慣的な行動の効果が消えると、ストレスにさらされなかった幼児は、それまでのボタンを押すのをやめて、別の選択肢を試すようになった。そうした15カ月の子どもたちは、新しい可能性を自由に探っていた。
対照的に、ストレスにさらされた幼児は、効果がなくなった以前の習慣にこだわり、代替的なパターンを探ろうとしなかった。
興味深いのは、ストレスが一般的な学習能力やゲームへの興味を損なわなかったことだ。ストレスによって低下したのは、古いルールから離れ、新しい可能性と関われるようにする柔軟性だった。
ストレスによる影響には個人差がある
新しいタイプの研究では、ストレスが意思決定に与える効果には個人差があることを示している。ワーキングメモリ(作業記憶)の容量(一般的な認知能力や流動性知能の代理指標)が大きい人の意思決定は、急性ストレス要因の影響を受けにくかった。
対照的に、ワーキングメモリの容量が小さい人が生理的なストレス要因(手をひどく冷たい水に浸すなど)にさらされて、コルチゾール値が急上昇すると、ベースラインでのワーキングメモリの容量が大きい人と比べて、柔軟な意思決定の能力がより大幅に損なわれる。ストレスが意思決定を歪める度合いは、人によって違うのだ。
科学者が次に取るべきステップは、こうした証拠をつなぎ合わせて、ストレスの神経生理学とイデオロギーの間によりしっかりとした橋を築くことだろう。ストレスの多い環境は、神経認知的プロセスを変えることによって、イデオロギー的思考にどう影響するのだろうか?
これまでの研究で、ある人のベースラインでの認知的特性と、ストレス刺激への反応の仕方の間には相互作用があるということが示されている。硬直的思考の傾向がある人は、ストレス下では間違った決断をするのだ。


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