先回りの提案は、操作の手数を減らす代わりに、Geminiが差し出すカードやプレビューという表示を画面に増やす。頻繁に出てくれば、それ自体が新しい気の散りの元になる。プルナスキー氏がHiLightについて語った抑制の理屈は、この提案群にもそのまま当てはまる。
同じ思想はPixel Watch 5にも及ぶ。空港に向かえばフライトの詳細や搭乗券がウォッチフェイスに自動で表示され、バスに乗れば降車までの停留所数が出る。腕を上げて話しかける「手を上げて話す」でGeminiを起動し、タイマーや予約確認を済ませられる。
Pixel Watch Software プロダクトマネジメント ディレクターのライアン・クレムズ氏は、ウォッチで始めた操作が結局スマートフォンで完了しがちだと現状を分析したうえで、複雑なタスクをウォッチ上のワンタップ操作に置き換えると説明した。時計で用事が済めば、ポケットのスマートフォンは出番を失う。
値上げの抑制にも日本重視がにじむ
画面から顔を上げさせる思想を語る一方で、値付けは部材高と円安という現実への回答になった。価格は、Pixel 11が13万6800円から、Pixel 11 Proが17万4800円から、Pixel 11 Pro XLが20万7800円から、Pixel 11 Pro Foldが27万9900円からだ。
値上げ幅は小さい。前モデルにあった128GB構成がなくなり全モデルが256GBからになったため、Pixel 11の最小構成は7900円上がったが、同じ256GB同士では7100円安い。Pixel 11 Proは100円差の実質据え置きだ。
今夏の他社フラッグシップでは、サムスンの縦折りGalaxy Z Flip8が前モデルから約2万8000円、シャープのAQUOS R11が7万円近く上がっている。Pixelで値上げとなったPro XLも1万4900円、Pro Foldは1万2400円と、上げ幅は1万円台にとどまる。
グーグルの日本側担当者は価格設定について、日本はPixelにとって最重要のマーケットであり、為替の影響をグーグル側で吸収できるところまで吸収するよう努めたと明かした。プルナスキー氏もメモリー価格の高騰で市場環境は難しいとしつつ、折りたたみ端末へのIP68防水防塵やサイズ・重量へのこだわりは日本のユーザーの声に基づくと説明し、日本市場への傾斜を隠さなかった。販路でも今回初めて、SIMフリーモデルを複数の家電量販店で扱う。
レコード店を探すと語った幹部が売り込むのは、通知の光り方まで作り込んだスマートフォンだ。画面を開かせず、伏せた端末のほのかな光で知らせる仕掛けは、五感で感じる体験を特別だと語った冒頭の雑談と同じ感性でつながっている。


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