導入でこだわったのは日常業務への組み込みで、開発チームは音声メモアプリを内製した。会議の録音が終わると、資料を読み込ませて質問や要約ができるAIノート「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)に自動で音声が加わり、参加者全員に共有される。その狙いを中島氏は「AIに議事録を作らせることではありません」と表現した。議事録を作らなくてもよくする会議の業務変革を、トップダウンで進めているという。
利用は上から与えられたままにとどまっていない。決まった業務を自動でこなすAI(エージェント)を、IT部門ではなく現場の社員が自分の業務に合わせて作る「市民開発」が広がり、その数は数カ月で1万件を超えた。トップダウンで配ったツールを、ボトムアップの開発が育てる構図ができている。
恐れたのはシステム障害ではなかった
損保ジャパンの城市由佳理氏はブレイクアウトセッションに登壇し、この数字を支える運用の裏側を説明した。
推進チームが最も恐れたのはシステム障害ではなく、社員に使われないこと、そして不適切に使われることだったという。従来のシステム運用がシステムダウンの防止を最優先にしてきたのに対し、AIの運用で監視すべきは利用率と実際の使われ方だという発想の転換がある。
まず力を入れたのは、AIに親しみのない社員に触ってもらうことだった。何に使えばよいか分からないという定着の壁に対し、活用事例集や公式のGemini Notebook集を用意して入り口を示した。公式のGemini Notebookは本社各部門が作って全社に公開しており、本社に問い合わせる前にまず聞いてみるという使い方が定着しつつある。慣れていけば相棒になってくれるはずだという考えで、使い方のコツや仕掛けを提供し続けたという。


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