その後、「草津温泉駅」に改称、JRの主要駅にある「みどりの窓口」が設置されたこともあるし、今年の3月までは長野原草津口駅経由で東京駅など各地への乗車券なども販売されていた。
まさにJRの駅と同じような機能を持っていたため、今もJRのテリトリーのような趣があるわけだ。
江戸時代の面影と最新の街歩きスポットが同居
草津温泉への観光客の入込客数は、2000~10年代を通じてほぼ年間300万人程度であった。それがコロナ禍を経て観光客が増加し、2025年には405万人とこれまでの記録を更新している。
湯畑を中心に食べ歩きの店が増え、湯もみショーで知られる「熱の湯」では、毎晩落語を楽しむこともできる。単に涼しいだけではなく、江戸時代の面影を残す、ひなびた湯治場と最新の街歩きスポットが同居する、稀有な観光地に変貌したためであろう。
そして、そのアクセスを高速道路と高速バスが担っている。現在、高速バスは関越道の「渋川伊香保IC」で一般道に降りるが、ここからJR吾妻線沿いに上田方面へ上信自動車道の工事が進められており、一部は通行できるようになった。また、八ッ場ダムの完成で立派なバイパスも完成し、所要時間の短縮に貢献している。
筆者は前職の大学教員時代、バスタ東京八重洲を朝7時20分に出るバスに乗ることが多かったが、同じ乗り場で1本前のバスが7時10分発の草津温泉行であったため、少し早くバス乗り場に着くと、うきうきした顔の観光客が草津温泉行きのバスに乗り込む姿によく遭遇した。
「大学へ通勤するよりこのバスに乗り込んだほうが楽しいだろうなぁ」と思いつつ、発車を見送ったことが何度あるだろうか。草津温泉行きのバスは、手近に非日常の世界へいざなう魔法の乗り物なのかもしれない。
なお、ほかの避暑旅にふさわしい街、例えば房総半島の勝浦には、バスタ東京八重洲から直行の高速バスが1日6往復、北茨城には常磐道経由のいわき駅行きのバスが1日10本ほど途中の北茨城ICに停車する。
もちろん、この両者には東京からの鉄道もあるが、目的地や時間によってはバスに軍配が上がることもあるし、運賃・料金ではバスのほうが優位に立つ。首都圏のクールケーションを高速バスが支えていると言ってもあながち間違いではなさそうだ。


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