この輸送力増強は、台湾経済にとっても大きなインパクトを持つ。台湾には半導体産業が集積する巨大な工業団地「サイエンスパーク(科学園区)が新竹、台中、台南にあり、ハイテク産業の基地として経済を力強く支えている。
史董事長は「高速鉄道はサイエンスパークの産業サプライチェーンをしっかりとつなぎ合わせる役割を果たしている」と語り、「この“台湾の動脈”こそが“シリコンアイランド台湾”を促進させたのだ」と強調する。動脈が太くなれば、台湾経済への波及効果も計り知れない。
北東部への延伸計画が始動
出荷セレモニーの1週間前となる7月23日には、台湾で大きな計画が動き出した。行政院長(首相)が高鉄の南港から北東に延びる宜蘭(宜蘭県)への延伸計画を承認したのだ。
全長は60.6kmで、所要時間は28分。完成は11年後の2037年を予定している。高鉄宜蘭駅には在来線の台湾鉄路(台鉄)も新駅を設置し、シームレスな乗り換えが可能になるという。南部では左営から高雄市中心部を経由して屏東市に至る約25.9kmの延伸構想もあり、現在は承認に向け環境影響評価が行われている。2028年の承認、2039年の開業を目指す。
さらにその先には、台北と高雄を結ぶ既存の西側のルートに加えて、東部の高雄―台東(台東県)間、台東―花蓮(花蓮県)間、花蓮―台北間の各区間に、約90分で移動できる鉄道網を整備して、台湾の均衡ある発展を目指すという「4つの90分」構想が存在する。高速鉄道によって目覚ましい経済発展を遂げた西部に対し、旧来の在来線に頼る東部の所要時間は高雄―台東間が約120分、台東―花蓮間が約100分、花蓮―台北間が約150分で、西部との格差が大きい。

