一方、70センチ以上離れていたら、自分の姿、姿勢や空間の使い方を相手によく見せることができます。自分のステイタスをアピールすることもできます。相手を落ち着けたり自分の威厳を示したりするようなときには、相手から70センチ以上離れていたほうが効果的なのです。
70センチより内側か外側か、この距離感をうまく使い分けましょう。
交渉や営業の冒頭、まだ会話が始まった段階では近い距離での会話は避けたほうが無難です。特に、高額なコンサル契約や長期的な提携交渉など、相手にとってのリスクが大きいケースであればなおさらです。
警戒心をあおらないように最初はあえて距離を取り、安心させることを優先に振る舞います。せかさず、じっくり時間をかけて相手の話に耳を傾け、しっかりうなずいて、話を受け止めている姿勢を示します。要望や気になっている点については特に親身になって聞きましょう。
そして相手があなたに心を開いてきたと感じたら、70センチ以内に距離を詰め、本腰を入れて交渉に移るのです。
距離を詰めるときの注意点
このとき、注意すべきなのは、相手を警戒させないようにできるだけゆっくりと近づくこと。あくまで「安心感を与える」ことに徹するのです。心理的なつながりが築けたうえで、ゆっくりと距離を詰めていくと、相手は無意識のうちにあなたを「重要な存在」と感じやすくなり、提案を断りづらくなっていきます。
一方、「限定性」や「即効性」が効果的に働く場面、たとえば住宅展示場や保険営業のクロージングのような状況では、立ち振る舞いをやや変える必要があります。
「今しかない」というメッセージで判断を迫りたい場合には、あえて急に距離を詰め、視線を強め、声をやや低くして話しかけます。これにより、相手は自分のパーソナルスペースに踏み込まれたと感じ、緊張感が高まります。同時に「早く決めなきゃ」という心理が働き、判断のスピードが速まるのです。
相手に接近することで「背中を押す」効果が生まれますが、状況に応じてゆっくりなのか速くなのか、ペースを調節するように心がけましょう。
また、相手が慎重になりすぎて決断を先延ばしにしているようであれば、一度イスに深く座り直すなどして、意図的に距離を取り直します。

