アメリカの巨大テック企業がIPO(新規株式公開)の準備を進めている。6月にはオープンAIとアンソロピックが、IPOに向けた申請書類を証券取引委員会(SEC)に提出した。いずれも株式評価額は100兆円超とされ、過去に例を見ない大型上場となりそうだ。
こうした世界的企業の巨大IPOに、日本の個人投資家が参加できる機会が広がるかもしれない。国内の証券取引所に上場しない企業が、個人向けに株式の公募・売り出しを行う「POWL(Public Offering Without Listing、上場なき公募)」という手法が存在するからだ。
日本では2014年を最後に利用が途絶えていたが、今年に入って3月のPayPay、そして6月のスペースXがアメリカのナスダック市場に上場する際、POWLを活用した。いずれも機関投資家からの引き合いが強かったが、あえて日本の個人にも株式を配分した。海外IPO銘柄に手が届くようになる「POWL」は日本で根付くだろうか。
2000年代にブーム到来
日本におけるPOWLは1990年代初頭から利用が広がった。00年代には中国や韓国の企業も積極的に活用。ネット取引が未成熟だった当時は外国株投資の手段が限られていたため、成長著しい海外企業に投資できるとして富裕層にも重宝された。
POWLを選択する発行体には別の思惑もあった。中国の4大商業銀行は、現地の証券取引所に上場する際にPOWLを活用した。時価総額が大きく、国内だけでは株式をさばききれなかったからだ。13年にミラノ証券取引所に上場したモンクレールは、アパレルの認知度を広げる手段としてPOWLを利用した。

日本では野村証券を中心に、14年までに30件超の実績を積み上げた。が、その後はPOWLの利用が途絶える。大手証券幹部は「時価総額が大きく、知名度のあるBtoCビジネスを手がけている企業ほどPOWLを活用しやすい。ただ、直近ではそうした企業のIPOが少なかった」と話す。
水面下でPOWLを提案することはあったものの、採用には至らなかった案件もあったようだ。
証券会社選びの基準にも
ほこりを被っていたPOWLだが、今年に入って再び日の目を見る。3月にPayPayがナスダック市場に上場した際、みずほ証券とPayPay証券が株式を個人投資家に販売したのだ。続く6月に上場したスペースXでも、みずほ証券、SBI証券、楽天証券が約3500億円の株式を個人に販売した。
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