『ちいかわ』の世界はよく考察されておもしろがられるが、一方でこの世界の設定はそこまで深く考えられていないと言わざるを得ない。
この世界には二郎系ラーメンや山岡家もあるし、なんなら自動車のディーラーも存在するが、それらがどうやって成り立っているのかまったく不明だ。そもそも、小さくてかわいい生き物が討伐をしなければならない合理的な理由もない。ただし、それらの要素が詰め込まれた世界が魅力的になる道理はある。
「原作をしっかり再現する」意志を感じる映画作品に
ところで、筆者が『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を観て驚いたのは、原作マンガに極めて忠実なところだ。
この映画は原作の「島編」(単行本8巻に収録)が下敷きになっており、映画オリジナル要素は少なめだ。うさぎのラップパートが丁寧に描かれていたり、背景や演出がかなり強化されていたり、セリフのアドリブがあったりしたものの、かなり忠実だと言っていいだろう。
昨今は原作に忠実なアニメ作品も多いが、それでも手を加える可能性は考えられる。実際、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は子供に見せるには序盤がやや退屈で、もっとひねりがあってもよいように感じられた。
映画の序盤では、ちいかわたちが島に到着してさまざまな食べ物をふるまわれる。わたあめ、ビール、じゃがバター、パフェなどなど。そして、プラカップに入ったビールを飲みながらてりてりソースの焼きそばを食べる様子が描かれる(ちなみに酒を飲むのは飲酒許可をもっている「くりまんじゅう」なるキャラクターだ)。
あるいはハチワレが宿泊用のバンガロー(キャンプ場にある宿泊小屋)に興奮するのだが、このあたりの旅に対する感覚は大人向けエッセイマンガの側面が強く、子供は退屈するだろう。
また、島編で重要な「ヒトハ」と「フタバ」というキャラクターが、シルエットで描写されるのも印象的である。
原作マンガでは、もともとちいかわやハチワレといったメインキャラクター以外はシルエットのモブキャラとして描かれる。


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