これだけ見ると王道の冒険ストーリーのように見えるかもしれない。だが、筆者自身で本作の元となった長編ストーリー「セイレーン編」を読み、映画を視聴したうえでそれは大きな間違いだと伝えたい。かわいいキャラクターたちの見た目にだまされる人が多いのかもしれない……しかし、本作の実態は「なんか小さくてかわいそうなやつらが『正義とは何か』を考えながら生き抜く、“サバイバルサスペンスホラー”」映画である。
ちいかわ映画の正体はかわいさの皮を被った「サバイバルサスペンスホラー」
映画を視聴した人のなかにはこの意見に全面同意してくれる人も少なくないはずだ。不穏すぎる音楽、美しい背景、一瞬にして切り替わる表情……どこをどう切り取ってもサスペンスホラーなのだ。
ちなみに、サバイバルには欠片の誇張もなく、ちいかわたちは本作で命がけのサバイバルに挑んでいる。本気で命をかけており、一歩間違えればその命は失われていたかもしれない……。見た目がかわいいだけで、作中でやっていることは本当に「えげつない」のだ。
ネタバレを防ぐため詳細は伏せるが、本作は視聴後に以下のようなことを考えさせられる内容となっている。
「大切な誰かの命を助けるため、他の誰かを犠牲にできますか?」
「他の誰かの命を犠牲にしたことを胸に秘め、素知らぬ顔で生き続けられますか?」
「自分たちのせいで他の誰かの命が犠牲になるのを見て、目をそらし続けられますか?」
まだ視聴していない人は、ぜひ「こんなにかわいい見た目なのにそんなストーリーなの?」と疑問を抱いたまま劇場に足を運んでほしい。
そもそも、ちいかわとは原作者ナガノさんの「加虐精神」がふんだんに盛り込まれた作品だ。「セイレーン編」のみならず、ちいかわでは“かわいい見た目のキャラクターたちが酷い目に遭いながらも懸命に生きる姿”が描かれている。

