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アップル本社「Apple Park」は巨大な環境装置だった、土も風も駐車場も設計で変えた脱炭素の発想

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Apple Park
iPhoneが発表される舞台で度々目にする、本社内にある虹色のアーチ(写真:筆者撮影)
  • 草刈 和人 テックメディア「ゴリミー」運営
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あえて社員全員分の駐車場を用意しない、という選択(写真:筆者撮影)

全員分の駐車場を「あえて造らない」という条件

駐車場の話には、さらに驚く続きがある。この本社を建てる際の建築許可には、「社員全員分の駐車場を造ってはならない」という条件が課されていた。つまり、意図的に駐車場を足りない状態にしているのだ。

駐められる場所がなければ、社員はマイカー通勤をあきらめる。その受け皿として、アップルはベイエリア一帯を網羅する大規模なシャトルバス網を運行している。「造らない」ことで行動を変える。設備を増やすのではなく、あえて制約を設けることで排出を減らすという発想である。

日本のオフィスビルでは、駐車場が足りないことは通常マイナス要因として扱われる。だがここでは、不足そのものが目的として設計されている。通勤という、企業が最も手を出しにくい従業員の私的な行動を、施設側の制約によって動かそうとしているわけだ。

もっとも、すべてが理想通りというわけではない。担当者によると、シャトルバスの電気自動車への切り替えも試したものの、充電の管理やコストの問題が大きく、現在は通常の燃料車を使っているという。そして、どうしても減らしきれない排出分については、植林などの取り組みによって埋め合わせているそうだ。

きれいごとだけで終わらせず、できない部分は正直に認めたうえで別の手段で補う。その現実的な姿勢もまた、印象に残った。

なお建物の造りにも、同じ「使わせない」設計思想が貫かれている。外壁を取り囲む白いひさしは日よけとして機能し、室内に入り込む太陽熱を抑える。Apple Parkは世界最大級の自然換気ビルで、外の風を取り込み反対側へ抜けさせる構造を持つ。空調は消費電力の少ない順に、まず自然の風を取り込み、次に壁や床に水を流して室温を整え、本当に暑い日だけ最後の手段としてエアコンを動かす3段階方式だ。最も電気を食う手段を「最後」に回す順番が、あらかじめ設計されている。

外壁を取り囲む白いひさしは日よけとして機能する(写真:筆者撮影)
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