そもそも、なぜ現地入りが批判されるのか。背景には、「災害時の報道は不要不急な存在ではないか」という、根強い見方がある。
復興期ならまだしも、発災直後に取材陣が大挙して現地入りすれば、かえって救援の妨げになりかねない。たとえそこに「報道する理由」があったとしても、それは人命より優先されるべきことなのか。こうした問題提起は、大規模災害のたびに繰り返されてきた。
加えて、熊本県警は29日時点で、Xで「支援物資の運送や、救助救援活動に支障を来すおそれ」があるとして、被災地方面への不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。こうした背景もあり「報道は不要不急の最たるものじゃないか」といった意見に、賛同するネットユーザーは少なくない。
言うなれば、被災地にとってプラスにならない「招かれざる客」という視線だ。藤井アナへのバッシングも、その延長線上にある。実際にネット上には、「地元局にもアナウンサーがいるのに、わざわざ東京から行く必要があるのか」という声も並んだ。
加えて、東京から来たとなると、どうしても「高みの見物」「やじ馬」のような印象を与えてしまう。いつもは被災地の外側に身を置いている人間が、現地の惨状を“伝える”という構図そのものが、反発を招きやすいのだろう。
現地入りしたのは藤井アナだけではない
ただし、現地入りしたメインキャスターは藤井アナだけではない。「報道ステーション」(テレビ朝日系)、「news23」(TBS系)、「めざましテレビ」(フジテレビ系)、「Nスタ」(TBS系)、「イット!」(フジテレビ系)と、各局が軒並み“看板”を熊本に送り込んでいる。
つまり、批判されている行為そのものは、藤井アナに固有のものではない。それでも矛先は、明らかに彼一人に集中した。
なぜ彼だけが炎上したのか。その背景には「好感度の高さ」ゆえの落差があるのではないかと感じている。そこに“フリー転身”という要素がかけ合わさった結果、ここまでの反発を招いたのだと考えられるのだ。

