薬の有効性や持続性、副作用の出方には個人差があり、誰もが高久さんのような経過をたどるわけではない。ただ、エンハーツが乳がんの標準治療を塗り替えてきたことは事実だ。
その有効性の高さを広く知らしめたのが、2つの臨床試験(患者に薬剤を投与する試験)だ。1つが、HER2陽性の乳がん患者を対象とした「DESTINY-Breast03」。もう1つが、HER2が「低発現」の乳がん患者を対象とした「DESTINY-Breast04」である。
「Breast03」では、比較対象となったスイス・ロシュの抗がん剤「̚カドサイラ」に対し、がんが悪化したり患者が死亡したりするリスクを72%減らした。また、腫瘍が一定以上縮小した患者の割合は80%と、比較対象の34%を大きく上回った。
さらに大きなインパクトを与えたのが「Breast04」だ。22年に世界最大級のがんの学会、ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会)でこの臨床試験の結果を発表した際、会場は割れるような拍手とスタンディングオベーションで包まれた。
標的の周辺にも爆弾をばらまくような効果
この記事は有料会員限定です
残り 2254文字

