だが学園ドラマには欠かせない、心に刺さる名セリフも少なくない。それこそが人気を支えた要素だろう。
「てめえのクラスの生徒に手え出されて黙ってられるほど、人間できてねーんでよ」と啖呵を切り、生徒には「死ぬことよりな、生きることのほうがよっぽど勇気がいるんだよ!」「人生にリハーサルなんかねえんだよ!毎日が本番なんだよ!」と熱すぎる言葉をぶつける。
教師としては暴走もいいところだが、鬼塚の混じり気のない純粋さに心を打たれ、反発していた生徒たちも心を開いていく。生徒役で若き日の窪塚洋介、小栗旬、池内博之らが出演していたのも懐かしい。
本物の不良が教師になった『GTO』の新しさ
ただ、破天荒ななかにも学園ドラマとしての基本はきっちり踏まえられている。
理解ある理事長(校長)と敵対する教頭、そして最初はケンカばかりしているがやがて理解者になる女性教師(冬月あずさ役を演じた松嶋菜々子と反町がこの共演をきっかけに現実でも結婚したことは有名だ)や我関せずのベテラン教師。そして一癖も二癖もある不良や優等生、お調子者の生徒や人知れず大きな悩みを抱える目立たない生徒。これらはみな数十年前からある学園ドラマの定番的な設定だ。
そしてある日、その学校に常識からはみ出してばかりのお騒がせ新任教師がやってくるというのも昔からあるおなじみのパターン。いわゆる熱血教師の系譜である。
だが『GTO』がユニークだったのは、本物の元不良が教師という点だろう。これはあまり前例がない。
かつて多かったのは、新任教師がアメリカ帰りという設定。たとえば、かつて学園ドラマの大スターだった中村雅俊が『ゆうひが丘の総理大臣』(日本テレビ系、1978年放送開始)で演じた教師がそうだった。アメリカ仕込みの自由をモットーとする主人公が、旧弊で封建的な価値観に染まった教頭や保護者と対立するパターンである。
『3年B組金八先生』(TBSテレビ系、1979年放送開始)で武田鉄矢が演じた坂本金八も、アメリカ帰りではないが管理教育に反対し、生徒の自主性を重んじる教師。しかしこちらも元不良ではない。

