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養育費も払い、面会権もあったのに…トム・クルーズとブラッド・ピットが「実子の心」を失うまでの知られざる苦悩

6分で読める
トム・クルーズ ブラッド・ピット
(写真:REX/アフロ、Backgrid/アフロ)
  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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アンジェリーナが争いに勝つために材料にしたのは、プライベートジェットの中で酒に酔ったブラッドと口論になり、止めに入った長男マードックスの体にブラッドの手が触れてしまった出来事だ。だが、この件は、捜査の結果「DVはなかった」との結論に至る。また、ブラッドは、自分の行動を反省して断酒をし、抜き打ちの飲酒検査に応じるなど、最大の努力をした。

そうしてついに裁判所の信頼を勝ち取り、共同親権が認められた。しかし、面白くないアンジェリーナは、判事とブラッドの弁護士の間に利益相反があったと訴え、判決を無効にしてしまうのである。よって、ブラッドは一からやり直さなければならなくなったが、それには時間がかかる。一番下の双子が18歳になってしまえば、親権は関係ない。

シャイロの誕生時の写真を掲載した雑誌は220万部を売り上げた(写真:Backgrid/アフロ)

その間にも、アンジェリーナは、元夫が大切にしているもうひとつのものを奪おうとした。ふたりで所有する南仏のワイナリー、シャトー・ミラヴァルの自分の持ち分を、よりにもよってロシアの企業に無断で売却したのだ。激怒したブラッドは、22年2月、アンジェリーナを訴えた。長引いた末、ようやく来年、裁判は開始される模様だ。

子どもたちの心は離れてしまった

しかし、ある意味、アンジェリーナは、もうある程度、勝っている。この訴訟の中でも彼女はブラッドからDVがあったと主張し、子どもたちは、否定する父の言葉より、母の言葉を身近で聞かされてきた。裁判でブラッドがワイナリーを取り戻せたとしても、子どもたちの心はすでに離れてしまっているのだ。

欧米では共同親権が一般的。子どものために、多くの人は離婚後もうまくやっていこうとする。それだけに、ブラッドが受けた仕打ちに、世間は強く同情を寄せる。今月、一番下の双子の片割れ、ヴィヴィアンが、苗字から「ピット」を外す申請をしたと報道された時も、ソーシャルメディアには、「我が子に苗字を拒否されるほど父にとって悲しいことはない」「ひとりの親がもうひとりの親を憎ませるよう仕組むなんて残酷」「ブラッドは遺書から子どもたちを除くべきだ」といった、感情的なコメントが寄せられた。

どの夫婦にもさまざまなことは起き、子どもはその影響を受ける。だが、生まれたばかりの赤ちゃんを幸せそうに見つめる写真を見た時、多くの人は、この家族にこんな未来が訪れるであろうとは想像しなかった。それはまさにハリウッドの恋愛映画のような美しい一コマだったのだ。

とはいえ、ストーリーはまだ終わっていない。彼ら彼女らの人生には、まだ先がある。いつの日か子どもたちの心が動き、このストーリーに温かな結末をもたらす日は来るのだろうか。

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