中東情勢の火種は残るが…
5月の本欄では、株式市場が中東情勢のピークアウトを織り込み始めていると述べた。その後、6月に成立した60日間の停戦合意は事実上無効化し、アメリカ・イランの対立が再び燻るなど、不安定化の火種はなお残っている。
もっとも、双方ともに全面戦争を回避する思惑が強く、ホルムズ海峡をめぐる緊張は“管理された緊張”へと移行する公算が大きいとみている。トランプ大統領は、イランの核関連施設などを念頭に強硬な発言を続けているが、あくまで譲歩を引き出すための交渉手段の域を出ないと市場は捉えている。米軍の弾薬補充の必要性や戦略石油備蓄(SPR)の低下は、アメリカにとって追加的な供給ショックを避ける誘因となる。最終的には、これ以上のエスカレーションを回避し、交渉余地を残す展開が市場の中心的な見方となるだろう。
市場にとって重要なのは、中東情勢の影響が限定的にとどまっている点だ。
エネルギー面では、原油価格はやや高止まりが続いているものの、天然ガス価格の高騰は回避され、コスト高の影響は全体として一定程度抑制されている。アメリカはエネルギーの純供給国としての耐性も併せ持つ。信用収縮の動きも限られている。アメリカ財務省金融調査局(OFR)が算出している金融ストレス指数の上昇は現時点では確認されていない。
6月半ば以降、株式市場はやや調整しているが、AI・半導体関連株の局所的な過熱感の修正が主な要因だ。世界の株式市場の時価総額(ドル建て)の減少は、2025年の関税ショックや今年のイラン戦争開始直後に比べると限られており、全面的な“リスクオフ地合い”とはいいがたい。地政学リスクは依然として最大の攪乱要因ではあるが、相場の基調を折り曲げるほどの材料とはいえないだろう。
主役は「地政学」から「企業業績」へ
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