ロボットがセンサーなどを通じて現実世界を認識し、自律的に活動する――。
そうしたフィジカルAIが本格化する時代に向けて、三菱自動車が一歩を踏み出した。出資先である東大発のスタートアップ企業Highlanders(ハイランダーズ)と組み、AIを活用して動くヒューマノイド(ヒト型ロボット)を共同開発・量産し、自社の製造現場に導入する。
決断の背景には、国内の人口減少に伴う製造現場での労働力不足に対する危機感がある。総務省が7月29日に発表した統計によると、2026年1月1日時点の住民基本台帳に基づく日本人の人口は1億1973万6483人。1984年以来42年ぶりに1億2000万人を割り込み、減少幅も前年比91万6744人減と過去最大を連続更新した。
7月9日の会見で、三菱自動車の加藤隆雄代表執行役CEOは「日本の製造業では人口減少に伴う生産現場での労働力不足への対応が喫緊の課題」と指摘。「熟練のノウハウの伝承と、人手不足への対応でロボティクス、フィジカルAIの活用は大変有効な手段になる可能性がある」と強調した。
5本指で道具使う、人型ロボの衝撃
Highlandersはヒューマノイドのほか4足歩行ロボットも手がけており、23年5月に創業したばかり。会見で同社の増岡宏哉代表取締役兼CEOは「得意領域を一言で言うとフィジカルAI」とし、「日本のロボットの手で日本の産業を守っていく必要がある」と力を込めた。
両社の具体的な取り組み内容としては、三菱自動車がエンジンの鋳造から組み立てまで行う京都製作所京都工場(京都市)で27年の早い段階でロボットの生産を開始する。当初は月産1000台の生産能力で、工場の現場への導入は27年の半ば以降を予定している。
「どこがヒューマノイドに適しているか、工程を選んでいるところ。エンジンの組み立てラインは手先の作業をするので、まずは京都製作所のエンジンのラインが候補。大きな動きをするところは最初は適さないと思う」(三菱自動車・加藤代表執行役CEO)
会見ではHighlandersのヒューマノイド「N」が自律歩行して登場するデモンストレーションも行われた。
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