植田日銀総裁は2025年8月23日に米国のジャクソンホール・シンポジウムで行った講演で、以下のように説明しています。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で2024年の賃金カーブ(一般労働者・所定内給与額)を見ると、男性の賃金は年齢とともに右肩上がりに上昇し、55~59歳では20~24歳の2倍近くに達しますが、60歳以上ではピークの約7割の水準まで低下します。

一方、女性は非正規雇用が多いため賃金カーブは年齢を重ねてもほとんど変わらず、55~59歳では男性の賃金が女性の約1.5倍です。女性とシニア層の活用は、企業にとっても人件費を抑えることができるため好都合でした。
今後は女性の正社員化と外国人の人材活用が不可欠に
しかし、2025年に「団塊の世代」(1947~49年生まれ)はすべて後期高齢者(75歳以上)となりました。女性の労働力率もすでに北欧諸国と遜色のない水準に達しています。足元で人手不足感が強まり、賃金が上昇している背景として、シニア層と女性人材のさらなる活用が限界を迎えつつあると考えられます。
植田総裁は前述のジャクソンホール講演で、今後は女性の正社員化と外国人の人材活用が鍵を握ると発言しています。
厚生労働省の統計(「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1037人と過去最高を更新し、前年から26万8450人増加しました。国籍別では、ベトナムが最も多く60万5906人、中国43万1949人、フィリピン26万0869人の順となっています。
対前年増加率が大きい主な3カ国は、ミャンマーが42.5%(4万8693人)増、インドネシアが34.6%(5万8579人)増、スリランカが28.9%(1万1291人)増です。社会がどのように外国人を受け入れていくかは、日本経済にとっても重要な課題となっています。


