4人の相棒の登場順に見える物語的必然
4人の相棒はみな個性的。キャラクターもそれぞれ異なる。だが4人の相棒が登場した順番には物語的な必然性も感じられ、それが各相棒のキャラクター設定に影響を及ぼした面もあるだろう。
亀山薫とは、純度の高い関係性が築かれた。最初は反目するものの行動をともにし、時に助け合ううちに徐々に絆を深めていくというパターンは、バディものの王道。沈着冷静と猪突猛進という正反対のタイプの刑事2人が対立から相互信頼へと向かうそのプロセスは、事件の捜査と同時に進行するもうひとつの『相棒』の醍醐味になっていた。
とはいえ、右京と薫の関係が密なものになればなるほど、必然的に警察組織とのあいだの隔たりは広がっていく。だがだからこそ、2人で警察組織内部の大きな不正や悪を遠慮なく暴くこともできる。その痛快さが『相棒』ならではの魅力でもあった。
しかし、警察組織には警察組織の論理、そして正義がある。そう簡単に特命係の正義が勝つわけではない。特命係が自由に振る舞うことへの反動もある。神戸尊の登場は、そんな構図のパワーバランスを反映したものだろう。尊が相棒になることによって、特命係と警察組織の関係はより複雑なものとして表現されるようになった。
尊は警察庁の指示によって杉下右京を監視するため特命係に送り込まれた。劇中でも、尊が日々つけている「監視日記」(本人のナレーションで読まれたりする)が登場する。それは、右京への警戒心が少しずつ尊敬へと変化していくプロセスの記録でもあった。
こうした尊の心境の変化は、同じ警察官僚でもノンキャリアであることが影響を及ぼしていたのかもしれない。ノンキャリアでありながら実力を買われ準キャリアとなった尊にとって、警察組織の一員であることはアイデンティティとして不可欠であると同時にすべてではない面もある。その意味で、尊は揺れ動く存在だ。

