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なぜ亀山薫は巡るのか?『相棒』歴代バディの「登場順」に隠された謎 ダークナイト・甲斐享からプチ右京・冠城亘へ物語的必然

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『相棒 season23』
人気ドラマ『相棒』の歴代バディの関係性から、今後の展開まで分析します(画像:テレビ朝日『相棒 season23』公式HPより)
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実際のところ、薫の帰還に向けた空気は不在のあいだにも醸成されていた。その存在を忘れていないことを暗示する場面は何回かあった。

薫が赴いた「サルウィン共和国」の名前は、先ほどもふれたように、ちょっとした記事やさりげない会話のなかで何度か登場している。また小ネタに近い暗示も何度かあった。シーズン20第5話「光射す」では、動物の亀が登場。小出茉梨に「以前、亀を飼ってらしたことが?」と聞かれた右京が「手の焼ける亀でしてね」と懐かし気に答えるシーンもあった。

そしてシーズン21の第1話で亀山薫は復帰する。

サルウィン共和国からアイシャ(サヘル・ローズ)という女性が来日することになった。実はアイシャは、薫と縁の深い人物。現地で日本語教師として学校を建設、校長にもなっていた薫の教え子のひとりが彼女だった。

使節団のひとりとして国賓扱いで帰国した薫は、右京と歓迎パーティで再会。しかしその矢先、美和子ら関係者を乗せた後続の飛行機を爆破するというテロ予告があり、右京と薫は再びタッグを組んで捜査に当たることになる。そして紆余曲折の末、薫と美和子はサルウィン政府から国外退去を命じられ、帰国の途につくことに。突然無職になったわけである。

ここで活躍したのが、伊丹だった。甲斐峯秋に土下座までして薫の警察への復帰を嘆願。そのかいもあって、嘱託職員の扱いで警察に復職することが認められた。しばらくは捜査に当たるにも制限があったが、シーズン21第11話「大金塊」で特命係と因縁のある政治家・袴田茂昭(片岡孝太郎)が動き、警視庁上層部に働きかけて特例で警察官として正式に再任用された。

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この成り行きを見て感じるのは、『相棒』の世界がひとつの円環を形成しつつあるということだ。

孤高のひとという印象が強い右京だが、ある回で犯人に対してこんなことを言っていた。「誰ともつながっていない人間など、この世にいるとお思いですか? 時には本人さえ知らないどこかで、皆誰かに支えられている。人間とは、そういうものなのではないでしょうかねえ」(シーズン8第18話「右京、風邪をひく」)。

誰もがどこかで誰かとつながっていること、そのつながる相手はいまここにいない誰かであり得ることを右京もまた固く信じている。それは、「長く離れていたひととまた巡り合う」ことにも通じるだろう。亀山薫が相棒として戻ってきたことで、「循環」が『相棒』の世界のモチーフとして顕在化したのである。

こうして『相棒』は、主たる登場人物たちの人生の交錯をより深く描く段階にシフトした。1話完結が基本の刑事ドラマのなかで、登場人物の人生をじっくり描くことは皆無ではないにせよ、これまではやはり断片的な描写にとどまるきらいがあった。だが『相棒』は、その限界を打ち破りつつある。今後、薫のみならず、いまは表舞台から離れているキャラクターたちが再登場し、その人生がより踏み込んで描かれることもあるだろう。そしていうまでもなく、杉下右京の人生も。そのとき、『相棒』は本当の成熟期を迎える。

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