おさむ(58歳・仮名)は、婚活を始めて6年になる、初婚だ。
婚活を始めた理由は明確だった。「最後のチャンスで子どもを授かり、家族を持ちたい」。一流企業に勤務し、当時の年収は1500万円近く。住宅ローンは完済し、預貯金や金融資産も十分にあった。
しかし、現実は厳しかった。
50代前半でも、出産を希望するアラフォー女性とのお見合いはなかなか成立しない。ようやく成立しても、お見合いで断られるか、仮交際に進んでも数回のデートで終了する。55歳を過ぎる頃には、子どもを望める年代の女性とのお見合いは、ほとんど組めなくなっていた。
当初、おさむは「再婚でもいいが、子どもがいない女性」を希望していた。他人の子どもを本当に愛せるのか、自信が持てなかったからだ。だが、婚活が長期化する中で考え方は変わる。
「子どもが小さいシングルマザーなら、お会いしてみよう」
そう思って申し込んだのが、4歳の娘を育てるまり(37歳・仮名)だった。久しぶりに成立したお見合いだった。写真どおりの涼しげな美人で、会話も弾んだ。双方が交際を希望し、仮交際が始まった。
ところが、おさむの心には別の不安が膨らんでいった。
前夫や離婚理由を根掘り葉掘り…
前の夫はどんな人だったのか。離婚理由は何だったのか。養育費は受け取っているのか。子どもは父親と会っているのか。今の住所を元夫は知っているのか。もしDVが原因だったら、自分まで巻き込まれることはないのか――。
不安は次々と湧き上がり、デートでは、前の結婚について根掘り葉掘り尋ねるようになった。
さらに、お金の話にも及んだ。
「預貯金はありますか?」
「離婚のときに、財産分与は受けましたか?」
「養育費はもらっているんですか?」
「娘さんは大学まで進学させる予定ですか? 私立ですか、公立ですか?」

