さとみのプロフィールには、両親はすでに他界、職業は派遣社員。年収欄は空欄だったが、自己PRには「男性の年齢にはこだわりません。安心して幸せにしてくださる方と出会いたいです」と書かれていた。
お見合いが成立し、それを終えたたかおが弾んだ声で電話をかけてきた。
「写真どおりのかわいらしい方でした。話も楽しくて、まったく年齢差を感じませんでした」
そして双方が交際を希望し、仮交際が始まった。
お金周りや資産が気になる
ところが、2度ほどデートを重ねた頃、今度は沈んだ声で連絡が入った。「どうも私のお金周りや資産状況が気になるようです」。
初回のデートから、さとみはたびたび「預貯金はどれくらいありますか」「ご自宅は持ち家ですか」「金融資産とは、どんなものをお持ちなんですか」と、お金に関する質問をしてきたという。
たかおはその都度、差し障りのない範囲で答えていた。そして、2回目のデートで結婚後の生活の話になると、彼女はこんなことを言った。
「私、料理はあまり得意じゃないので、週に何回かは外食したいです。ウニやイクラ、カニも大好きですし、食べ放題にも行ってみたい。それから海外旅行に一度も行ったことがないので、結婚したらハワイとかグアムとか行きたいです。年齢を重ねると飛行機も大変になるでしょうから、行けるうちに毎年でも行きたいですね」
さらに、笑顔で続けた。「でも、私は若いですから、たかおさんが寝たきりになっても介護できますよ」。
この一言で、たかおの気持ちは一気に冷めたという。
「まだ元気に生活しているのに、もう介護される老人という前提で話をされ、憤慨しました。それに、お金の話ばかりするので、目当てはそっちという思いが拭えません」
そう話したあと「映画の『後妻業の女』を思い出しましたよ」と苦笑しながら、交際終了を申し出てきた。
34歳もの年齢差がある結婚を望む女性の真意は、本人にしかわからない。ただ、さとみの場合、“パートナーとして相手に寄り添う”という気持ちよりも、“経済的な安心”を求め、たかおが言うように、先だった後に残す“遺産”に興味があったのだろう。

