森保監督についても「18年8月時点の日本のFIFAランキングは55位。そこから森保監督が1年で28位に上げ、8年が経った今は17位まで来ている。23年からの第2次森保体制は46試合を戦って33勝7分6敗。過去最高の勝率で、日本代表のステージを1段階も2段階も上げてくれた」と高く評価した。
今回のW杯で優勝したスペインのルイス・デ・ラ・フエンテ監督、準優勝したアルゼンチンのリオネル・スカローニ監督はともに、育成年代からの長期的チーム作りで成功した。こうした事例も出しながら、山本技術委員長「長期的な視点に立って選手育成を進めながらチームを強化していく重要性」を再三にわたって強調した。
24年パリ五輪でベスト8入りを果たし、現在は28年ロサンゼルス五輪代表チームを強化している大岩監督にバトンタッチする形が、過去の成功例を生かせる——。そういった機運が山本技術委員長を中心に広がり、山本氏の指導を受けたことがある宮本会長ら幹部も賛同。最終的にこの方向性でまとまったという流れなのだろう。
トップ指導者の招聘に立ちはだかる高い壁
一方で、以前から「日本代表がW杯で決勝トーナメントの壁を破るためには、その道筋を知る外国人指揮官を招聘すべき」という声が複数のサッカー関係者から上がっている。「選手が欧州5大リーグで活躍しているのに、アジアレベルでしか指導していないスタッフがマネジメントするのはいかがなものか」といったネガティブな意見があったのも事実だ。
選手時代にオーストリアのザルツブルクでプレーし、引退後は国際スポーツ学の大学院修士課程プログラムである「FIFAマスター」で学び、FIFAのテクニカル・スタディー・グループ(TGS)として14年ブラジル大会の分析に当たった宮本会長の中にも、「外国人のトップ指導者を呼びたい」という思いは少なからずあっただろう。外国人指導者の招聘を念頭に、実際に候補をリストアップしたことを本人も認めている。
ただ、世界レベルのトップ指導者は年俸が破格に高い。今回のW杯で3位になったイングランドのトーマス・トゥヘル監督の推定年俸は580万ユーロ(約11億円)、フランス代表で長期政権を築いたディディエ・デシャン監督も380万ユーロ(約7億円)といわれる。
これまでにも何度か日本代表の監督候補として名前が挙がったアンジェ・ポステコグルー監督(元・横浜F・マリノス監督)も、セルティック(スコットランド)、トッテナム(イングランド)など世界的ビッグクラブでの指揮官を歴任した結果、年俸が1000億ユーロ(18億5000万円)超に達したとされている。日本にゆかりのある外国人指揮官でさえ、そうそうオファーは出せないのである。
さらに、外国人監督を呼ぼうとすると、複数のコーチングスタッフ、家族のサポート、家や自動車など、さまざまな負担が伴う。そこにのしかかるのが、昨今の歴史的な円安だ。契約はドル建て、もしくはユーロ建てだから、現在の円安傾向が続けば支出がどこまで膨らむか、わからない。その財政負担も大きなネックになったはずだ。

