単元名とポイントを伝えれば、指導案も板書例も発問例も、数十秒で、しかも整った形で返ってきます。指導法研究の表面だけをなぞる教材研究は、構造的にAIに負けてしまうのです。
授業開始5分前や当日の朝に、教科書の指導書を開いて「今日の授業はどうしようかな」と考えることと、本質的な違いはないと言えるでしょう。
AIには「クラスの子どもたち」が見えてない
一方で、素材研究と学習者研究は、AIがすべてを代替することはできません。なぜなら、あなたのクラスの○○さんは、AIには見えていないからです。教師が教材と格闘して得た「子どもの見え方」だけは、AIには出せません。ここにAIに負ける教材研究と負けない教材研究の、決定的な違いがあります。
とはいえ、現実には時間がありません。全教科を毎時間、同じ深さや熱量で研究するのは不可能です。正直に言えば、小学校教員時代の私もできていませんでした。これは精神論では解決しません。
だからこそ、まず重点的に教材研究をする単元をあらかじめ決めておくことから始めましょう。すべてを深くやろうとせず、ここぞという単元に力を集めるのです。
そのうえで、AIを「答えを出す機械」ではなく「自分の考えを深める相手」として、素材研究と学習者研究の場面で活用してほしいのです。
例えばAIが生成した教材分析をたたき台にして、壁打ちの相手として問い返す。批判役を任せて、自分の授業構想の弱点を突いてもらう。出てきた内容を、自分のクラスの子どもの姿に照らして取捨選択する。こうした使い方をすれば、AIはあなたの教材研究を確実に深めてくれます。
素材研究×学習者研究×指導法研究。この3つがすべて揃っているとき、それはAIに負けない教材研究だと私は考えています。



