株主総会の当日、冒頭でホールディングスの芝田浩二社長から、これらに関して大きな混乱を招いたことへのお詫びがあった。先のANAスーパーフライヤーズカード改定については、株主総会を先取りして発表があり、「年間300万円以上の決済」という条件について、見直しを行うとしている。2026年9月末までに改めて発表するという。また「シンプル」料金についても、別途料金を払うことで座席指定できるサービスを開始するようだ。
どちらも、企業側の想定以上に、利用者はじめ世間の反発が大きかったのが理由だろう。総会では、新SFC制度の発表に際し「離反が一定程度起きることは織り込み済み」と語った経営側はお客に対して傲慢ではないか、と怒りをあらわにした株主もいた。
企業には客を選ぶ権利があるかもしれない。ただし、そこには欠けている視点が1つあった。ANAを愛用し、ラウンジを利用してきたのは単なる客ではない。いわば『推し客』だということをだ。
『ヅカファン』の愛ある怒り
これと同じ怒りの声を聞いたのは、ANAより前に行われた阪急阪神ホールディングスの株主総会だった。阪急阪神HDは看板の鉄道事業や不動産事業の他に、エンタメ事業が有名だ。スポーツでは阪神タイガース、そしてステージ事業における宝塚歌劇、どちらも熱狂的なファンを有している。
今年の株主総会では、タカラヅカ愛溢れる株主の訴えが切々と続いた。このところタイガースの観戦チケットもプラチナ化して取れないが、タカラヅカはその比ではないらしい。
ヅカ事情に詳しくないので恐縮だが、25年から「宝塚歌劇カスタマープログラム」が開始され、宝塚歌劇の関連サービスの利用状況に応じて自分のステージが決まるという。上位ステージに行くほど、チケットの取得チャンスが増えるというのがポイントらしい。
例えば最高の「ゴールド」なら第1次~第3次抽選に申し込み可能だが、「ブロンズ」では第3次抽選にしか申し込みができない。この「ゴールド」になるためには、友の会への入会や公演チケット購入は当然として、公式グッズショップ「キャトルレーヴ」での購入、動画配信サービス「TAKARAZUKA SQUARE」の入会や継続・動画レンタル、宝塚専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」への加入などを通じて、1年で2500タカラット貯めなくてはいけない。
サービスごとに「100円ごとに1タカラット」とあるので、それだけで計算すると使用金額はざっくり25万円だ。月割りでは2万円となり、推し活としてべらぼうに高いわけではない。とはいえ、チケット代として2万円払うならまだしも、チケットの申し込みのために各種サービスをめいっぱい利用してお金を落とせというのでは、確かに一言いいたくもなるだろう。

