ついカッとして、子どもに対してきつい言葉を言いすぎたと反省する親は多いだろう。子どもの成長段階に合わせたコミュニケーションが必要だが、なかなか冷静になれないのが親子関係だ。どうすればいい親子関係が築けるのだろうか。
忘れられない朝の出来事
「ママ嫌い!」
東京都内の会社員の女性(35)は、4歳の長男にそう言われた朝を忘れられない。出勤時間が迫っているのに、靴下をはこうとしない。何度声をかけても遊んでいる。
「いい加減にして!」と怒鳴りつけ、無理やり手を取って玄関まで引きずっていった。保育園の門で別れる時、息子の目に涙が浮かんでいるのを見て、「今日もまたやってしまった」と自己嫌悪にさいなまれた。
東京都内のパート勤務の女性(46)は、中学2年生の娘の言動に怒りを抑えられないことがしょっちゅうだ。何か声をかけると「うっさいなぁ!」「うざい!」「ムカつく!」と返される。特に機嫌が悪い時はあからさまに無視されるか、反抗的な目でにらまれるか。
「そういう年代だから」と自分に言い聞かせても気持ちが収まらず、感情的になって怒鳴りつけてしまったこともある。友人が娘と仲良さげに過ごす様子をSNSにアップしているのを見ると、「どうしてうちの子は」と思ってしまう。
親と子の間にはさまざまなコミュニケーションの壁が立ちはだかる。
「『怒る』というのは、感情を相手にぶつけている自分本位の行為。子どもが行動を反省したり改善したりするきっかけにはなりません」
こう指摘するのは、東洋大学福祉社会デザイン学部の鈴木崇之教授。児童相談所など現場での経験を生かし、子ども家庭福祉や社会的養護、児童虐待問題を研究する専門家だ。


