たとえばルール違反があった場合、親が一方的にペナルティーを科すのではなく、事前に話し合って決めた「論理的な結末」を適用する。「ゲームは夜10時まで」と決めたのに守れなかった場合は、「だから言ったでしょ!」と感情的になるのではなく、「事前に決めたとおり、明日はゲームなしだね」と淡々と伝える。感情ではなく、ルールと結果で話す姿勢が重要だという。
「脳の発達のズレ」を子どもに事前教育をする
思春期特有の難しさとして、脳の発達のズレがある、と鈴木教授。感情をつかさどる「扁桃体」が活発になる一方、感情にブレーキをかける「前頭前野」の発達はまだ追いついていない。このズレが、些細なことで激しく反発したり、わけもなくイライラしたりといった行動を生み出す。
「このことを子ども自身に事前教育しておくことが重要です。『イライラするのは脳の成長のせいだから、嫌になったら距離を置いていい。感情的になったり、暴力を振るったりするのは絶対にしてはいけないけれど、LINEの返信でもいいし、それも嫌なら相槌だけでもいいので、つながっていよう』と伝えておくことが、親子関係の崩壊を防ぐ有効な手段になります」(同)
親自身も、感情的になりやすい自分を自覚しておく必要がある。
「『脳の発達のズレ』と認識するだけでも、心が少し軽くなるのではないでしょうか。そして、かつて自分も思春期だったと思い出し、深追いしすぎないことが大切です。今は何を言っても耳を貸さない子どもも、成長し、18〜19歳になれば、変わってきます。
ご自身もそうだったはず。それまでは、真正面から受け止めすぎない。感情をぶつけ合いそうになったら、いったん距離を置く。今は、LINEといういいコミュニケーション手段があります。それを活用するのも手です」(同)
ポジティブに捉えようと思っていても、家事や仕事の忙しさ、睡眠不足が重なれば、ついネガティブな表現で怒ってしまうこともある。鈴木教授は「感情を持つ人間だから、ある程度は仕方ない。パーフェクトである必要はありません」と述べ、こう続ける。
「自分が完璧ではないことを子どもに伝えてください。親子がお互いに納得して『一緒にやっていこうね』と言えるフラットな関係をつくっていくことが、子どもの成長に良い影響を与えます」
「感情的にならない。怒ってしまったら謝る」「ポジティブな言葉で具体的に伝える」「対等な関係を保つ」——これらは就学前から思春期まで、あらゆる年齢の子どもとのコミュニケーションに共通して生かせる原則だ。お気づきだろうか、これらは夫婦間や職場にも通じる。
一人で抱え込まず、地域の子育て支援センターや専門の相談窓口も上手に活用したい。
(ライター・羽根田真智)

