もうひとつ、推薦入試の独特な現象があります。
一般入試であれば、偏差値のヒエラルキーは基本的に一直線です。早稲田に受かる学力のある生徒が、日東駒専に落ちるということは、まず起きません。仮に起きたとしても、それは体調不良や当日のミスといった例外として説明されます。
ところが、推薦入試では、これが当たり前のように起きます。早稲田大学の総合型選抜には合格したのに、同じ年に受けた日本大学の推薦では不合格になった、という事例は別にあります。逆のパターンも当然あります。GMARCHには軒並み落ちたのに、慶應のとある学部だけ突き抜けて合格するというケースも決して珍しくありません。
なぜ、こうしたことが起きるのか。理由はひとつです。推薦入試は、マッチングの入試だからです。
「同じ大学の別学部に受かる」は本来ありえない
もう一歩、踏み込んで書きます。
一般入試の感覚で言えば、「早稲田の法学部にも、同じ早稲田の教育学部にも受かった」というのは、そこまで違和感のある話ではありません。同じ大学なら、学部間ではあまり偏差値の差がない場合が多いですから。
しかし、推薦入試の世界では、この現象は本来的に、あまり起きるものではありません。なぜなら、法学部を受ける生徒は、法学部で学びたい理由を軸に、高校3年間の活動を積み上げ、法学部に向けた志望理由書を練り上げてくるからです。同じ生徒が、そのまま同じ大学の経済学部に出願しても、「経済学部で学びたい必然」は、そこには書かれていません。
つまり推薦入試は、大学の看板ではなく、学部との相性で合否が決まる入試なのです。「早稲田だから受ける」「慶應だから出す」という発想では、そもそも書類の1行目から成立しません。

