入団3年目頃になると、彩月さんは退団後の人生について少しずつ考えるようになりました。
「宝塚以外の舞台にも挑戦してみたいと思うようになっていました。舞台のお仕事は待ち時間も多かったので、その時間を有効に使って何か勉強できないかと思ったんです」
最初は高卒認定試験の勉強を考えましたが、書店でテキストを見ても、独学で学ぶことは難しいと感じました。そこで代わりに選んだのが、英語でした。
「宝塚では海外のミュージカル作品を上演することもあったので、英語を勉強すれば、今の仕事にも生かせると思いました。英語の曲も歌いやすくなるし、セリフの意味ももっと深く理解できるようになると思ったんです」
英語の勉強を続ける中で、彩月さんは、英語学習者と日本を旅行中の外国人が交流する会に参加しました。約2時間にわたって英語で会話をしたことで、中学英語でも十分にコミュニケーションを取れることを実感。この経験をきっかけに、「英語は楽しい」という感覚に目覚めていきます。
舞台の待ち時間には単語帳を開き、振り付けの合間には英語の本を読む。公演の合間には、ミュージカルを観るために海外へ足を運びました。
「目標としていたエトワール(公演のフィナーレで歌を披露する役)を経験できたことで、自分の中では、宝塚で一つの区切りを迎えられたという思いがありました。英語もある程度話せるようになり、退団後の生活にも少し見通しが立ったことから、入団6年目の16年に退団を決意しました」
退団後の新たな目標
宝塚歌劇団を退団後、彩月さんは新たな目標として、さまざまな資格試験に挑戦し始めます。初めて受けたTOEICでは740点を取得。努力が結果につながる喜びを実感し、さらに勉強を続けました。
英検2級、準1級と順調に合格し、TOEICでは最終的にリスニングほぼ満点を含む860点を取得。さらに、貿易への興味から、貿易実務検定C級にも合格しました。
その後、イギリスのプロダクションチームが審査するミュージカル『TOP HAT』のオーディションを、通訳を使わずに英語で受け、見事合格。劇中でソロナンバーを歌うスブレット役に抜擢されました。

