出会いは22年、雑誌の撮影でのこと。その前の恋人ボクサーのジョシュア・ポッパー(彼は93年生まれ)と破局後の24年に、交際が始まった。以後、ふたりは、大物セレブが集まるファッションの祭典メット・ガラにカップルとして2年連続出席したり、ソーシャルメディアに仲睦まじい写真をたびたび投稿したりして、熱愛ぶりを見せつけている。
そんなふうに公私共に充実している様子だが、ここに至るまでには挫折もあった。そもそも、この新アルバムは、それを乗り越えたいという意志から生まれているのだ。
マドンナの伝記映画『Who’s That Girl』がユニバーサル・ピクチャーズで製作されるというニュースが業界を沸かせたのは、今から5年前。監督はマドンナ自身で、主演女優の座は、長く厳しいオーディションの末、「オザークへようこそ」『アシスタント』のジュリア・ガーナーがつかんだ。マドンナにとっては、3度目にして、最もパーソナルかつ大規模な監督作となるはずだった。
映画化が頓挫する事態に
だが、その企画はまもなく暗礁に乗り上げる。製作予算が高すぎる、脚本が長すぎると、ユニバーサルが難色を示したのだ。マドンナが「Interview」に語ったところによれば、製作費を削るためにセルビアでロケをすると申し出ても、「そんなところであなたは4日も持たないでしょう」と取り合ってもらえなかったのだという。
ありがたいことに、Netflixから「配信シリーズでやらないか」と声がかかった。しかし、配信シリーズの製作プロセスは、劇場用映画とまるで違う。そのうえ、映画のために書いた脚本は、ユニバーサルから買い取らないかぎり、使うことができない。“ショーランナー”と呼ばれる、テレビドラマ製作のトップを選ぶプロセスでも「これだ」という人材に出会えず、またもや時間ばかりが過ぎていった。
その過程で、彼女は、「私には本業がある」と気づいたのだ。つまり、音楽を作ることである。映画のため、過去を振り返り、さまざまな思いをめぐらせたばかり。かつて仲が良かったのに関係がこじれた弟、義理の母(父の再婚相手)が続けて亡くなるという悲劇もあったところで、心の中には言いたいことが積もっていた。

