ここで見逃せないのがコストの問題だ。担当者は、紙のほうがプラスチックより高いと率直に認めた。それでも成立するのは、箱を小さく薄く設計して輸送効率を上げ、そのぶんの物流コストと二酸化炭素を相殺しているからだという。アマゾンも同様に、梱包の小型化と紙化を「スケール全体での削減」として進めている。ただしアップルの場合、削減とデザイン性・開封体験の両立まで求める点で、制約は一段厳しい。
糸まで紙のApple Store袋、「牛乳が運べる」強度
筆者がとりわけ唸ったのが、Apple Storeで渡される紙袋だった。持ち手まで100%紙製で、驚くべきことに、その糸まで紙でできている。原料は日本のメーカーが納める薄葉紙(薄く柔らかい紙)を撚った糸で、紙の芯に糸を巻く構造によって、強度と手触りを両立させているという。
実際に触れると、質感は紙とは思えないほどしっかりしている。雨の中で持っても持ち手がふやけて崩れることはなく、無理やり引きちぎろうとしても外れないほど頑丈だった。何気なく受け取っていた紙袋に、これだけの作り込みが隠れていたことに驚いた。

