折りたたみ固有の構造に加えて、今年は部材市況も価格を押し上げた。AIサーバー向け需要の急拡大でメモリの供給が細り、スマホに使うDRAMやNANDの価格は2025年秋以降、急騰している。Counterpoint Researchは、部材コストの上昇を受けて2026年の世界のスマホ平均販売価格が6.9%上がる可能性があると分析する。サムスン自身は世界最大級のメモリメーカーでもあり、グループ全体では高騰の受益者という側面を持つが、端末の値付けには業界共通の逆風が及んでいる。
高くても選ばれる理由
それでも折りたたみを選ぶ人は増えている。サムスンによると、昨年の「Galaxy Z Fold7」は日本発売後、前作比180%の販売実績を記録した。
魅力の中心は、1台で何役もこなせることだ。閉じればポケットに入るスマホ、開けばタブレット級の画面という二面性があり、動画や漫画、電子書籍を大画面で楽しめる。タブレットや電子書籍リーダーを別に持ち歩く必要がなくなり、人によってはノートPCの出番も減る。複数の機器を1台にまとめられることが、高い価格を正当化する理屈になっている。
この理屈は現行の相場で検算できる。スマホとタブレットを別々にそろえる場合、たとえばiPhone 17(256GB、14万2800円)とiPad mini(128GB、9万9800円)の組み合わせで計24万2600円かかる。Fold8の26万9880円はこれより2万7000円ほど高い水準にあり、2台分の役割を約201gの1台に集約する対価をどう見るかで評価が分かれる。
折りたたみ側の弱点が解消されてきたことも大きい。かつての折りたたみは厚くて重く、電池持ちも見劣りする機種が多かった。今回のFold8 Ultraは開いた状態で約4.1mm、重さ約215gと、アップルの大型モデル「iPhone 17 Pro Max」(約233g)より軽い。バッテリーも前作から600mAh増の5000mAhを確保しながら、重さを据え置いた。
画面中央の折り目も長年の弱点だったが、実機を確かめると、斜めから光を当ててもほとんど視認できないほど抑えられていた。折りたたみだから何かを我慢する、という前提が崩れつつある。ただし、ヒンジの形状が変わった影響か、本体をL字に半開きで立てて使うフレックスモードは浅い角度で固定しづらく、手を離すと開いてしまう場面もあった。

