遭難事故要因の上位を占める転滑落事故は、標高が高く峻険な山で多発しているイメージがあるが、低山でも少なからず起きている。
たとえば三重県桑名市と岐阜県海津市にまたがる多度山(403m)での事故。
2025年11月16日、日帰りの予定で登山に出かけた76歳の女性が夜になっても帰宅しないことから、心配した家族が警察に通報するという事案が発生した。
翌日、警察と消防による捜索が開始され、午後1時半ごろ、山頂から北西に約700m離れた谷間で、女性が倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認された。
体に付いた傷などから、女性は単独で登山中に、登山道から滑落したものと見られている。
下山者とのすれ違いざまに転落、死亡
岐阜市の中心部に位置する金華山(329m)では、2026年3月16日、やはり76歳の女性が単独で東坂ハイキングコースを登山中に、岩場から約50m下まで転落するという事故が起きた。
女性は意識不明の状態で病院に運ばれたが、その後、死亡が確認された。
女性は下山してきた登山者とすれ違うため後退したところ、登山道から足を踏み外してしまったという。事故現場の道幅は約75cmだった。
このように、低山であっても転滑落によって命を落としてしまう事例はあとを絶たない。
山によっては転滑落の危険が高い、険しい岩場や岩稜が現れる箇所もある。
そのような危険箇所ではなくても、低山には谷側が急斜面となって切れ落ちている細い登山道も多く見られ、そこを通過する際にバランスを崩したり足を踏み外したりすれば、重篤なダメージを負うことになる。
とくに近年は全国各地の山で転倒事故が相次いでいるが、ちょっとした転倒が致命的な転滑落事故につながってしまうこともある。
街であれば、つまずいて転んでも擦り傷程度で済んでしまうが、山ではたかが転倒と侮ってはならない。
また、秋から冬にかけて、低山の斜面は落ち葉で覆われ、大変滑りやすくなっている。
2023年1月21日、栃木県宇都宮市の古賀志山(583m)では、67歳の女性が仲間と2人で縦走中に、下りの斜面で落ち葉に足を滑らせ、15mほど下の小さな滝壺に転落する事故が発生した。
女性はヘリで病院に搬送されたものの、その後、死亡が確認された。

