日本企業の特徴として、かつては現場の細部を熟知した「分厚いミドル層」の存在こそが、会社組織を支える最大の強みであると謳われてきた。現場のトラブルを即座に解決し、トップの抽象的な意向を具体的な業務に落とし込む彼らの機動力こそが、日本型経営の精髄だとされてきた。
しかし現在では、その分厚い層が、組織の抜本的な改革やデジタル化による効率化を阻害する「巨大な重石」と化している側面は否定できない。
問題の本質は、組織内で大きなコストを占める管理職が、果たしてその給与に見合う「質の高い仕事」に従事しているかどうかにある。
「管理職がマネジメントに割く時間は2割未満」という異常な現実
衝撃的な調査結果がある。日本企業で働く部長・次長・課長クラスの管理職が、本来の職務であるはずの「メンバーの育成」「中長期的な戦略の策定・推進」「イノベーションの創出」といった業務に割く時間は、業務全体のわずか2割未満に過ぎないということが明らかになったのだ(TONOME「マネジメントに対する管理職とメンバーの意識調査」(第2版)2024年6月実施)。
「マネジメント」を仕事にしているはずの人間が、その仕事に2割の時間しか使っていない。もちろん、調整や情報共有そのものが不要だと言いたいわけではない。問題なのは、それらが本来のマネジメントを補完する手段ではなく、目的そのものになってしまっている点である。これを工場の製造ラインに例えるなら、稼働時間の8割を「機械の掃除と隣のラインへの挨拶」に費やしているようなものだ。

