もっとも管理職の仕事が断片的で、いわゆる「雑務」に大半の時間をとられていることは日本企業に限ったことではない。例えばアメリカ企業のマネジャーを対象にした研究によると、マネジャーの役割は対人関係、情報処理、および意思決定に関わる短時間、多様、かつ断片的な活動からなっていることが明らかにされている(H・ミンツバーグ著、奥村哲史・須貝栄訳『マネジャーの仕事』白桃書房、1993年)。
ただ日本の管理職の特徴は、対人関係や社内調整のウエイトが質・量ともに大きいことだ。管理職の時間とエネルギーの大きな割合が、共同体型組織を維持するために費やされているのである。
管理職は、「ムラ」の秩序を維持するための守護神
共同体型組織の中核に位置するのが管理職だ。彼らは単なる指揮官ではなく、メンバー全員を納得させ、組織という名の「ムラ」の秩序を平和に維持する守護神としての役割を担わされる。
彼らの仕事は、トップからの指示や命令に従うことだけではない。日々の業務の中で、部下や他部署からくる無数の相談を受け止める必要がある。その際、トップが今どのような立場に置かれ、何を求めているかを過剰なまでに読み取り(忖度)、それを部下に角が立たないように伝達しつつ、現場のマネジメントに反映させていかなければならない。
さらに厄介なのは、高度成長期に役職も階層も無節操に増え、一度作られたポストが既得権益として膨れ上がったまま維持されている点だ。管理職間の忖度や「根回し」という名の儀礼的コミュニケーションには、現代においても膨大な時間と精神的エネルギーが費やされている。


